交通事故で視力が低下してしまった場合の後遺障害等級を弁護士が解説

代表弁護士 津田 岳宏 (つだ たかひろ)

交通事故で頭部に衝撃を受けてしまった場合、視力の低下などにより、その後の生活に大きな支障が生じてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

視力が低下したのは加害者の責任ですから、被害者としては、加害者側にしっかりと補償をしてもらいたいところです。

交通事故で視力が低下するなど、目に関する障害が残ってしまった場合には、「後遺障害」として慰謝料の対象になります。

 

この記事では、

  • 目に関する後遺障害の種類
  • 目の後遺障害に対応する後遺障害等級
  • 後遺障害慰謝料の金額相場

などについて弁護士が解説します。

【症状別】目に関する後遺障害の種類と等級一覧

交通事故で生じる可能性がある、目に関する後遺障害は、大きく分けて以下の5種類があります。

  • ①視力障害
  • ②調節機能障害
  • ③運動障害
  • ④視野障害
  • ⑤まぶたの障害

以下では、それぞれの後遺障害の内容や、症状別に認定される後遺障害等級について併せて解説します。

視力が低下する「視力障害」

視力障害は、片方または両方の目を失明してしまったり、または視力が低下してしまったりする後遺障害です。

視力障害については、失明や視力低下の程度、および両目か片目かに応じて、第1級から第13級までの後遺障害等級が認められます。

 

<視力障害の後遺障害等級>

後遺障害等級 後遺障害の内容
第1級 両眼を失明した場合
第2級 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になった場合

両眼の視力が0.02以下になった場合

第3級 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になった場合
第4級 両眼の視力が0.06以下になった場合
第5級 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になった場合
第6級 両眼の視力が0.1以下になった場合
第7級 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になった場合
第8級 1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になった場合
第9級 両眼の視力が0.6以下になった場合

1眼の視力が0.06以下になった場合

第10級 1眼の視力が0.1以下になった場合
第13級 1眼の視力が0.6以下になった場合

ピントを合わせにくくなる「調節機能障害」

調節機能障害は、目のピントを調節する機能が弱ってしまう後遺障害です。

調節機能障害が後遺障害として認められるのは、眼球に「著しい調節機能障害」が残った場合です。

「著しい調節機能障害」とは、調節力が通常の2分の1以下に減少した場合と定義されています。

調節機能障害については、両目か片目かによって、第11級または第12級の後遺障害等級が認められます。

 

<調節機能障害の後遺障害等級>

後遺障害等級 後遺障害の内容
第11級 両眼の眼球に著しい調節機能障害を残す場合
第12級 1眼の眼球に著しい調節機能障害を残す場合

左右の視野が一致せず複視が起こる「運動障害」

運動障害は、眼球が動きづらくなったことにより、注視野が狭くなってしまったり、物が二重に見えてしまったりする後遺障害です。

運動障害が後遺障害として認められるのは、眼球に「著しい運動障害」が残った場合です。

「著しい運動障害」とは、眼球の注視野の広さが通常の2分の1以下に減少したことをいいます。

運動障害については、複視(ものが二重に見えること)の有無や程度、両目か片目かによって、第10級から第13級の後遺障害等級が認定されます。

 

<運動障害の後遺障害等級>

後遺障害等級 後遺障害の内容
第10級 正面を見たときに複視の症状を残す場合
第11級 両眼の眼球に著しい運動障害を残す場合
第12級 1眼の眼球に著しい運動障害を残す場合
第13級 正面以外を見たときに複視の症状を残す場合

視野が狭くなる「視野障害」

視野障害は、半盲症・視野狭さく・視野変状により、視野の角度が正常視野の60%以下になってしまう後遺障害です。

視野障害については、片目か両目かによって、第9級または第13級の後遺障害等級が認定されます。

 

<視野障害の後遺障害等級>

後遺障害等級 後遺障害の内容
第9級 両眼に半盲症、視野狭さく、または視野変状を残す場合
第13級 1眼に半盲症、視野狭さく、または視野変状を残す場合

まぶたが欠損、または運動障害を残す「まぶたの障害」

まぶたの障害は、まぶたの欠損や運動障害を内容とする後遺障害です。

まぶたの障害については、欠損の程度や、欠損・運動障害が発生しているのが両目か片目かによって、第9級から第14級の後遺障害が認定されます。

<まぶたの障害の後遺障害等級>

後遺障害等級 後遺障害の内容
第9級 両眼のまぶたに著しい欠損を残す場合
第11級 1眼のまぶたに著しい欠損を残す場合

両眼のまぶたに著しい運動障害を残す場合

第12級 両眼のまぶたに著しい運動障害を残す場合
第13級 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、または、まつげはげを残す場合
第14級 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、または、まつげはげを残す場合

【等級別】目に関する後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級を、一定の算定基準に当てはめることにより計算されます。

算定基準には自賠責基準(※1)・任意保険基準(※2)・弁護士基準の3つがありますが、被害者が慰謝料をもっとも多く獲得できるのは、裁判所の事例から導き出された「弁護士基準」です。

(※1)自賠責基準・・・交通事故被害に遭った方を最低限保障する基準

(※2)任意保険基準・・・任意で加入した保険会社が定めている基準

 

弁護士に加害者側の保険会社との示談交渉を依頼すれば、弁護士基準による保険金支払いを受けられますので、交通事故に遭った場合はお早めに弁護士にご相談下さい。

弁護士基準による後遺障害慰謝料の金額は、以下のとおりです。

 

<弁護士基準による後遺障害慰謝料>

後遺障害等級 後遺障害慰謝料
第1級 2,800万円
第2級 2,370万円
第3級 1,990万円
第4級 1,670万円
第5級 1,400万円
第6級 1,180万円
第7級 1,000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

まとめ

交通事故により、視力の低下をはじめとする目の障害を負ってしまった場合、加害者側に対して後遺障害慰謝料を請求できます。

  • 後遺障害慰謝料は、後遺障害の症状ごとに認定される後遺障害等級によって決まります。
  • 弁護士に依頼をすると、被害者にとって有利な弁護士基準により、後遺障害慰謝料の支払いを受けることが可能です。

視力低下などの後遺障害について、悩みを抱えていたり、慰謝料請求を有利に進めたかったりするなら、一度弁護士へご相談ください。

代表弁護士 津田岳宏(つだたかひろ)/昭和54年生/京都女子大学付属小学校卒業/東大寺学園中・高等学校卒業/京都大学経済学部卒業/平成19年9月弁護士登録/平成26年6月京都グリーン法律事務所を設立

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