交通事故で車や積載物が破損してしまった。物損事故での慰謝料請求は可能?

「先日の交通事故で、車に積載していた納品予定の製品が破損してしまった。車の修理代とは別に、積載物の損害費用も請求できるのだろうか」

「先日交通事故に遭ったが、その時の衝撃で身に着けていた腕時計が壊れてしまった。体は無傷で済んだが、腕時計の修理代も請求できるのだろうか」

車同士の交通事故で、特に減速などしていない状況で衝突した場合、その衝撃は相当なものです。シートベルトやエアバッグなどで体の安全は守ることができても、車内の積載物や備品などは無防備なことが多く、事故の衝撃で大きく破損することも珍しくありません。

今回は交通事故での積載物等が損壊した場合における、損害賠償請求手続きについて解説してみました。参考にして頂ければ幸いです。

破損した事実だけではダメ。交通事故により破損したという因果関係の必要性

車の積載物が交通事故で破損した場合、交通事故で壊れてしまったことを証明できれば加害者に対し損害賠償請求が可能です(民法709条)。またこれは言い換えれば、いくら交通事故で積載物が壊れたという事実があっても、交通事故によって壊れたという因果関係を証明できなければ、損害賠償請求は認められないことになります。
そしてその因果関係は、損害賠償の請求をする側、つまり被害者側が証明しなければなりません。

ですが交通事故と積載物の損壊に、因果関係があることを証明するのは、容易なことではありません。因果関係の有無を審理する過程で、「その積載物は交通事故前から壊れていたのではないか」といった反論や、「交通事故とは別の事情が原因で破損したのではないか」といった抗弁が、加害者側から主張されることも予想されます。

従って、そのような抗弁や反論があっても揺らがないといえる十分な証拠が、因果関係の証明においては必要になります。そのためには、現場を記録した写真などが物的証拠として有効と言えるでしょう。またその破損した積載物自体が、因果関係の証明に役立つこともあります。よって積載物が壊れたとしても、捨てたりせずに保管しておくことが重要です。

しかし、被害者個人における証拠の収集はできることに限りがあり、適切な証拠収集のタイミングを逃してしまう恐れもあります。従って、積載物の破損における損害賠償請求を検討する段階で、すぐに弁護士にご相談されることをお勧めします。

衣類や腕時計などの被害の損害賠償請求可能。その損害額の算定基準は?

交通事故により自身の衣類や腕時計などの所有物が損害を受けた場合、それが交通事故によって引き起こされた以上、損害賠償は請求できることになります。この点保険との関係においてですが、自賠責保険では物損における被害を補償しておりません。
従って衣類や腕時計の損害に対して、自賠責保険により保険金が支払われることはありませんので、ご注意ください。

ではその衣類等の物損被害に対して、どの程度の賠償金が支払われるのでしょうか。この点現在の裁判実務においては、時価による賠償が基本とされています。つまり交通事故である不法行為が行われた時点で、その物が持つ市場価格により賠償額が決定されることになります。

例えば交通事故により腕時計が破損した場合、その腕時計の購入額は数年前に20万円相当でした。しかし、交通事故時におけるその腕時計の中古価格の相場は、5万円相当になっていました。この場合、その腕時計の市場価格は5万円と判断されることになります。

従って被害者は、交通事故によって腕時計が破損した場合、5万円の限度で損害賠償請求が認められることになります。またその腕時計を修理に出した場合は、その修理費用を加害者に請求できますが、その修理費用も無制限に請求できるわけではありません。
例えば腕時計の修理費用が10万円だったとしても、その腕時計の市場価格が5万円である以上、修理費用も5万円の限度で請求できることになります。

慰謝料請求は人身事故だけ?物損事故での慰謝料請求の可否

交通事故の被害が生じた場合、財産的な損害が生じる一方、心も大きく動揺し傷つきます。そのような精神的な損害が生じた場合、被害者はその損害賠償として慰謝料の請求を行うことができます(民法710条)。

人身事故のように人の死傷が生じた交通事故で、慰謝料請求が認められるのは当然といえます。では人の死傷が生じず、器物の損壊だけ生じた物損事故では、慰謝料請求は認められるのでしょうか。

この点については、物損事故における慰謝料請求は、原則認められておりません。器物の損害により精神的に損害が生じたとしても、通常はその財産的な損害賠償により、精神的な損害も補われたと考えられているためです。

ただし全ての物損事故で、慰謝料請求が認められないわけではありません。例外的に物損事故でも、慰謝料請求が認められるケースもあります。
判例では、ペットや墓石、芸術的に価値のある陶芸などが損害を受けた場合に、精神的損害があったとして慰謝料請求が認められています。

このことから物損事故について判例は、一個人の主観的な事情による精神的損害に対しては慰謝料を認めていませんが、社会通念上精神的損害が生じることが相当といえる場合に、慰謝料請求を認めていると考えられます。

物損事故においては車が被害を受けることが多く、車の損害に対して慰謝料請求できるかが問題になることがあります。確かに大切にしていた愛車が全損するとなると、車の所有者は深く傷つき落ち込むかもしれません。しかし車はペットや墓石と違い、多数の代替物が存在するのが一般的です。従って車をペットや墓石と同列に扱うのは難しく、車の損害に対する慰謝料請求は認められないのが一般的です。

判例は何を基準に損害賠償請求の成否を判断している?損害の予見可能性

車の積載物への損害賠償請求は、一定の場合に認められていますが、では何を基準に判例はその成否を判断しているのでしょうか。損害賠償請求の成否における判断基準を知ることは、被害者にとって非常に有益と言えるため、是非知っておきたいところです。

これについて判例は、その積載物の損害が通常の損害である場合は、加害者は当然損害賠償の義務が生じるとし、その積載物が特別な事情による損害であっても、加害者がその事情を社会通念上予見できた場合は、損害賠償の義務が生じるとしています(民法416条の類推適用)。

例を挙げて説明すると、被害者が仕事で取引先に納品する精密機械を、事情があって営業車に積載して運転していたところ、交通事故に遭ってしまいその精密機械が破損してしまったとします。この場合、事情があって精密機械を営業車に乗せていたため、特別の事情による損害といえます。

この特別な事情による損害を社会通念的に見て、加害者が予見できるかが次に問題になります。これについてはその車が営業車である以上、業務関連の品物を載せていても不思議ではありません。従ってその積載物が精密機械であったといえども、それが交通事故により破損することが、社会通念上予見できると判断される可能性はあるといえるでしょう。

よって、特定の業務で使用される特殊な積載物においても、車内への積載が社会通念上予見できる範囲内であれば、被害者は加害者に対して損害賠償請求できる可能性があります。

積載物が高額であればあるほど請求は認められない?予見可能性への影響

車内の積載物に対する損害賠償請求をする場合、その積載物の額というものは判断材料ではありません。積載物が低額でも高額でも、加害者が社会通念上その損害を予測できれば損害賠償請求することは可能になります。

しかし、その積載物が高額であればあるほど、加害者の予見可能性は認められにくくなると考えられます。例えば被害者の車に、数億円相当の骨董品が積載されてあり、それが交通事故により損壊したとします。
この場合加害者が、その損害を社会通念上予見できたかといえば、一般的にそのような骨董品を車に乗せて運ぶことは、極めてまれと言わざるを得ません。従って加害者が、その損害を予見できたと認定されるケースは、どうしても少なくなります。

ただいくつかの判例においては、高額な積載物の損害賠償請求が認められています。高額な積載物の損害賠償請求を行う場合は、裁判で争うことになる可能性は非常に高いです。是非専門の弁護士にご相談ください。

物損事故での損害賠償請求は当事務所にご相談ください

解説は以上になりますが、いかがでしたか。物損事故での損害賠償請求は、車の修理費用の請求だけではなく、車の積載物に対しても損害賠償請求ができることになります。交通事故の被害に遭うと、治療費や慰謝料の請求に気が取られてしまい、中々積載物の損害賠償まで気が回らないこともあると思われます。

しかし、交通事故が起きなければ積載物も壊れなかったことを考えると、積載物の損害賠償請求も看過するわけにはいきません。証拠の確保を確実にするためにも、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

当事務所では、賠償金を増額できなければ報酬を一切頂かないという方針のもと、ご依頼を承っております。
相談料及び着手金ともに無料とさせていただいております。土日祝日ともに対応させていただいており、事前のご予約も不要です。
積載物や車の損害に対する損害賠償請求に関し、豊富な実績を誇る弁護士を多数そろえております。
積載物の被害や物損事故でお困りの際は、当事務所の弁護士に是非ご相談ください。

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