交通事故被害者の入通院慰謝料について

「私は先日交通事故に遭い、現在病院で治療中です。入通院に対しても慰謝料請求できると聞きましたが、どれくらい貰えるのでしょうか」

「入通院慰謝料の請求をするために、保険会社と交渉中です。ただ相手の保険会社が私の言い分を中々聞いてくれません。やはり弁護士に依頼した方がいいのでしょうか」

交通事故の被害に遭った場合、損害が生じるのは物や身体だけでありません。心も大きく傷つき、ダメージを受けます。法律はそのような精神的な損害に対して、損害賠償請求を認めています。それがいわゆる慰謝料請求です(民法710条)。

交通事故における慰謝料は、4つ認められています。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料
  • 近親者に対する慰謝料

の4種類です。上記の入通院慰謝料、後遺障害慰謝料及び死亡慰謝料は、被害者本人に支払われるものであり、近親者に対する慰謝料は被害者の父母、配偶者及び子に対して支払われる慰謝料(民法711条)になります。

今回は、怪我を負って病院に行った場合は全ての案件で請求できる入通院慰謝料にスポットを当てて解説していきます。

慰謝料とは精神的な損害に対して支払われる賠償金

慰謝料とは精神的損害に対する賠償金のことです。入通院慰謝料とは交通事故により、入通院することで生じた精神的損害に対する賠償金です。

なお、入通院慰謝料は交通事故での傷害により生じる慰謝料ということで、傷害慰謝料と表記されることもあります。

心の傷は金で癒せるのか

身体的な傷害は、正しく診察すれば傷の程度は明らかになります。しかし心の傷は、体の傷と違って外から見ることができないものであり、その傷の深さは計り知れません。どんな大金積まれても、この心の傷は一生治らないと思う方もいらっしゃるでしょう。よって精神的な損害に対して、金で埋め合わせをしようとする民法の考え方には、納得できない方もいるかもしれません。

ただ一方で、金銭の支払い以外で精神的損害を賠償する手段が他にあるのかといえば、それも難しいところです。個人単位でみていけばあるのかもしれませんが、多くの人に共通して一定の価値のある賠償方法となれば、結局は金銭の支払いという手段に行き着くのかもしれません。

賛否両論あるのかもしれませんが、現在の法律上、精神的損害に対する賠償方法は、金銭の支払いでということになっています。

自賠責保険による入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、治療日数と治療期間に対して支払われる慰謝料になります。

よって、治療日数をどのように決めるのかによって、慰謝料の金額も変わってきます。

自賠責保険(※)により入通院慰謝料を計算する場合、一日当たり4300円で慰謝料が支払われるので『入通院慰謝料=4300円×治療日数』でその額が決定されます。

※自賠責保険の支払基準が改正され、令和2年4月1日以降に発生した入院慰謝料については、新基準が適用されます。令和2年4月1日以前に発生した入院慰謝料については、1日につき4200円です。

また治療日数は、①入院及び通院した期間である実通院日数を2倍にした期間と、②治療に要した期間を比較して、その少ない日数の方を治療日数として採用することになります。②の治療に要した期間とは、交通事故により傷害が生じた時から、その傷害が完治もしくは症状固定するまでの期間です。

例えば、交通事故により腰を強打した被害者が、治療により10日間の入院及び30日間通院したとします。また交通事故時から腰の完治までの期間は60日でした。

この場合①の期間は、入院期間の10日+通院期間の30日なので、実通院日数は40日間となり、その2倍で計算した期間は80日となります。一方で②の期間は、事故から60日で完治しているので、治療期間は60日となります。

この2つの期間を比較して、少ない日数の方が計算で使われる治療日数として採用されるので、②の60日で入通院慰謝料が計算されることになります。

以上が、自賠責保険から支払われる慰謝料です。

なお、自賠責保険には上限があります。傷害について自賠責保険から支払われる上限は120万円であり、治療費、休業損害などの支払が多額になっていた場合は、上記計算の基準を下回る慰謝料しか自賠責から支払われません。この点は誤解している方も多いので、ご注意ください。

法律上適切な慰謝料を取りたい場合は、是非弁護士へ

慰謝料請求含めた交通事故における損害賠償請求は、弁護士なしでも行うことができます。

ただしそれによって、法律上の適切な慰謝料を獲得できるのかということになれば、話は変わってきます。

交通事故の損害に対する最大限の慰謝料を獲得するのであれば、弁護士の力を借りることが必要になります。その理由は以下のとおりです。

慰謝料の支払いに関する3つの基準

先ほど、自賠責基準における慰謝料の金額は1日当たり4300円(4200円)だと説明しましたが、慰謝料の算定基準は、自賠責基準の他に、任意保険会社基準、弁護士基準というものが存在します。

そしてその金額の大きさについては、弁護士基準>任意保険会社基準>自賠責基準という順序になっています。よって、入通院慰謝料を請求する場合、その傷害に対して最大限の金額を獲得する場合は、弁護士基準で請求する必要があります。

弁護士基準は裁判基準と呼ばれることもあります。この基準は、いくつもの判例の積み重ねによって生み出された基準であり、法律上の適切な基準とも言えます。

保険会社は弁護士基準で支払ってくれない

保険会社は、ボランティアで慰謝料の支払いをしているわけではなく、あくまでも営利企業としての業務として対応しています。

単純に言うと、被害者に支払う慰謝料が多くなればなるほど、会社の売り上げが下がり、保険会社が得る利益も少なくなります。

よって、保険会社は、弁護士が介入していない案件については、弁護士基準での慰謝料を提示すことは通常ありません。

これより低い自賠責基準もしくは保険会社基準での支払を提示してきます。この提示での示談に応じてしまうと、法律上のしかるべき金額の慰謝料は取れないということになります。

弁護士基準での慰謝料獲得には弁護士が必要

弁護士は法律のプロであり、法律を熟知しています。

よって、保険会社は被害者が弁護士を代理人として法律上の根拠を付けて請求すると、弁護士基準をベースにした慰謝料を支払ってきます。この点に、弁護士を介入させる大きなメリットがあるのです。

法律上の適切な入通院慰謝料の獲得を希望される場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。なお弁護士基準による慰謝料算定については、入院及び通院した期間に応じた慰謝料を算出できる表があり、その表に当てはめて慰謝料額を計算していくことになります。

この表は具体的には、日弁連交通事故センターより出されている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という本に掲載されています。

この本は赤い表紙であるため別名「赤本」などと呼ばれています。「赤本」は法曹関係者に向けた専門書であるため、一般の書店では通常販売されておりません。

他覚症状のないむち打ち症の慰謝料

弁護士基準での慰謝料の算定表は1つではなく、他覚症状のないむち打ち症で用いられる表と通常用いられる表の2つあります。

他覚症状とは、患者以外の第三者(医師など)から見て、その症状を客観的に把握できる症状を意味します。交通事故事件で被害者が受傷することの多いむちうち症は、通常、他覚症状がありません。

他覚症状のないむち打ち症は、骨折等との他の怪我とはやや金額が低くなる別の表で、慰謝料の金額が算定されます。

例えば足を骨折した場合により入院1か月及び通院1か月した場合は、通常の表が用いられることになり、入通院慰謝料の算定金額は77万円です。

一方で他覚症状のないむち打ち症で、1か月入院及び1か月通院したときは、入通院慰謝料の算定金額は52万円となります。

このように、むち打ち症の慰謝料の算定基準は、弁護士基準でもやや低くなりますが、それでも自賠責基準は保険会社基準よりは相当程度高額です。

入通院慰謝料請求は当事務所にお任せください

当事務所は、交通事故における入通院慰謝料の請求に関して、豊富な実績があります。詳しくは、解決事例をご覧ください。

保険会社主導の低い金額ではなく法律上の適切な金額の慰謝料を取りたい方、保険会社が提示してきた慰謝料の算定に納得できない方は、お気軽にご相談下さい。

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